前立腺がん検診は、血液検査により「PSA」という前立腺に特異的なたんぱく質の値を調べる検査です。
日本においては、前立腺がんはさほど多くみられるがんではありませんでした。しかし近年、もっとも増加しているがんのひとつとして注目されています。50歳頃から多くなる傾向があります。

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PSA(前立腺特異抗原)とは?

「ピー・エス・エー (PSA)」は男性だけにある前立腺という生殖器官で産生されるタンパク質で、精液の中に混じって、ゲル状の精液をさらさらにすることで精子の運動性を高める役割があると言われています。

PSA検査とは?

採血する検査で、血液中にあるに「PSA」の値を測定します。前立腺がんを調べる検査のなかで、もっとも精度が高く簡単に受けることができます。

PSAのほとんどは精液中に分泌されますが、ごく微量は血液中に取り込まれます。そのため、正常な状態であれば血液中に存在するPSAの量はごくわずかです。しかし、前立腺がんや前立腺肥大症、前立腺炎などの病気があると、PSAが血液中に漏れ出して血液中のPSAの濃度が高まります。特に、前立腺がんになると前立腺の組織が壊れ、血液中のPSAが増加します。

PSAの値が高くなるにつれ、前立腺がんである確率も高くなっていきますが、年齢により基準値が設けられています。基準値以上の値が出た場合、泌尿器科専門医を受診し、前立腺がんであるかを確定するための、より詳しい検査を受けることになります。

PSA検査で見つけられる前立腺がん

前立腺がんは、膀胱の下に位置するくるみ大の前立腺という臓器にできるがんです。男性がもっともかかりやすいがんであり、9人に1人が生涯のうちに前立腺がんに罹るといわれています。

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前立腺がんと診断される人の数は、年々増加傾向にあります。ただ、患者数は多いものの、前立腺がんは治療によって治る可能性が高いがんです。
がんが前立腺の内部にとどまっている早期の段階で発見し、適切な治療を受けた場合、5年相対生存率は100%とされています。

このように、発見が早ければ完治を見込める前立腺がんですが、多くの場合、早期の段階では自覚症状がありません
がんが進行すると尿がでにくくなる、排尿時の痛みや尿に血が混じるといった症状がみられることがありますが、症状が出たときにはがんが進行している可能性もあります。

前立腺がんの症状

 ●早期がん 無症状 ※がん特有の症状はない 
   ⇩
 ●進行がん 前立腺肥大症と同じような症状が出現する
        ・尿が出にくい、残尿感がある
        ・排尿回数が多い、夜中に何度もトイレにいく
        ・尿の勢いが弱い、尿意を我慢できない
        ・排尿時に痛みが伴う
        ・尿や精液に血が混じる
   ⇩
 ●転移がん 骨転移に伴い、腰痛・四肢痛が出現
        ・転移しやすい部位:骨、リンパ節など

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引用:武田薬品工業株式会社 
https://www.takeda.co.jp/patients/p-cancer/about/2_4.html

1年に1度の定期的な検査を

PSA検査は、定期的に受けることが勧められています。

前立腺がんは、自覚症状がほとんどないために「発見が遅れることが多いがん」です。がんが進行すると尿がでにくくなる、排尿時の痛みや尿に血が混じるといった症状がみられることがありますが、症状が出たときにはがんが進行している可能性もあります。

自覚症状が出てから泌尿器科外来を受診し、発見される前立腺がんの約40%は他の臓器に転移しており、一方、PSA検査などの検診で発見された前立腺がんの約60%は早期のがんだったという研究結果があります。

また、前立腺がんのリスク(危険因子)のひとつは「年齢」です。50歳を過ぎると罹患率が急激に増加するため、50歳を過ぎたら1年に一度受けることが推奨されています。
なお、前立腺がんのかかりやすさには、「家族歴」もあげられています。そのため、前立腺がんと診断されたご家族のいる男性は、早期発見のためにできれば40歳になったらPSA検査を受けることが勧められています。

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