第9965号 2019年03月28日
中通総合病院
前立腺がんの確定診断に先進医療
中通総合病院では新たな生検システムを導入し、3月から先進医療の「MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法」を行っています。
この先進医療は前立腺がんの確定診断に用いられ、実施が認められているのは全国で17カ所。東北でも中通総合病院を含め3カ所で、秋田県では初めての導入になります。
導入した生検システムは「バイオジェット」と呼ばれるもの。事前に撮影したMRIの画像を、生検中の超音波の画像に融合させることによって患部を特定し、組織を的確に採取することができます。
前立腺がんは腫瘍マーカー(PSA)検査、直腸診、超音波やMRIの画像検査を行い、その結果、がんが疑われる場合は針生検で診断を確定します。超音波の画像のみで実施する従来の針生検は、患部の位置を特定することが難しいため、前立腺全体に、均等に6~12カ所の針生検を行っていました。バイオジェットは患部をより正確にとらえ、小さながんも見つけやすく、診断の精度が向上。過剰な針生検を行わなくても済み、患者さんの負担も軽減されます。
検査には二泊三日の入院が必要で、先進医療の費用は約11万円。それ以外の入院料などは健康保険の適用となります。
泌尿器科の小泉淳(あつし)先生は「前立腺がんの罹患数は男性がんの第四位(2014年)であり、今後も増加することが予想されます。一方で、現状における問題点の一つとして過剰診断・治療が挙げられます。新しい生検法を用いることで前立腺がんの診断精度を向上させ、患者様にとってより負担の少ない診断、治療につなげていきたいと思います」と話しています。