2010.11.18(第34号)
中通総合病院 臨床研修部
★訪問先で研修医は・・・
Drはしもと の連載コラム 中通リハビリ病院研修医日記 その2
2回目は、研修の実際の様子をお伝えします。
訪問診療に一緒に行ってみて、今年の研修医は概して優秀だなというのが率直な感想です。
おもに急性期疾患を扱う総合病院と違って、訪問診療では医療者も患者家族も慢性疾患とどう付き合っていくかが問題となります。当院の場合、さらに身体に障害を持ち、日常生活に困難を抱えている人が対象です。患者を介護する家族への気配りも必要になります。
わたしは、患家を訪問したら、まず時候の挨拶をして、病状の安否を本人に尋ね、介護者にも心配なことや質問がないかを聞きます。診察を終えて、特に問題なければ、「大丈夫、心配ない」という安心を伝えて、「また来月来ます」と言って、診療を終えます。
挨拶をしたり、相手の話をじっくり聞くのはコミュニケーションの基本ですが、研修医は下手な人が多いです。何年か前には、何の言葉賭けもせずにいきなり血圧を測りだす医師もいました。
その点、今年の研修医たちは、とても好感が持てます。
「初めまして」の挨拶はもちろん、診察を終えると「お疲れ様でした」「ありがとうございました」ということもあります。最終日には、次の研修医のことを「よろしくお願いします」と頼むことも忘れません。
また患者の訴えをじっくりとよく聞きますし、不調に関して適切な判断とアドバイスができています。移動の車の中でカルテを読んで患者の全体像を把握し、初めての訪問でも、前回のやり取りを引き継いで、診療に当たっています。
診察も丁寧です。頭の先から足まで、じっくりと診察しています。手技については、まだぎこちないところがありますが、経験を積むたびに上手になっていくことでしょう。
リハビリテーションの知識と技術は脳卒中や骨折ばかりでなく、どんな病気を診ていく際にも必要です。私自身、研修医時代に、発熱で入院した高齢の患者が1日で寝たきりになった経験を持っています。超高齢化社会の現代は入院したそのときから、退院後を見据えて、ADLを落とさないように配慮しながら、治療を行っていく必要があると思います。
この訪問診療研修を機に、リハビリに興味を持つ医師が増えることを期待します。
<研修医への一言>
血圧測定は正しくできるように練習してきてね
写真の説明:訪問診療のスタッフです。
左から看護師の渡部由美子さん、筆者、研修医の大山翔吾先生、事務兼運転手の佐々木久夫さん