急性心筋梗塞におけるDoor-to-balloon Timeについて

日本救急医学会雑誌2009年5月号に当科から投稿した「地方病院におけるDoor to Balloon Timeの短縮に関する検討」という論文が掲載されました(**JJAAM 2009 ; 20 : 252-7)。

近年再灌流療法, 特に経皮的冠動脈形成術(PCI)の適応拡大により、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の予後は劇的に改善しています。 STEMIの治療において最も重要なことは、いかに早く確実に再灌流を得るかという事であり、そのためには患者様の来院からPCIを行いバルーン拡張などにより再灌流を得るまでの時間(door-to-balloon time : DTBT)をできるだけ短縮することが、我々医療者側に求められています。ACC(アメリカ心臓病学会)/AHA(アメリカ心臓協会)のガイドラインでも発症12時間以内のSTEMIに対しては、来院から90分以内にPCIを行うことを求めています(classⅠ)。

今回我々は2007年度に当院においてPCIを施行したSTEMI症例のDTBTを調査しました。ST上昇型心筋梗塞の平均DTBTは76±13分、90分以内に再灌流を得ることができた比率は89%でした。当院カテーテル検査室スタッフと救急部スタッフの献身的な努力のおかげで、当院の循環器救急治療がハイレベルに保たれている事が確認できました(表1**日救急医会誌より引用)。今後も、信頼できるメディカルスタッフと共に、良い医療を提供できるよう努めていきたいと考えております。

  (表1)

Description
Door to Balloon Time
  All, mean±SD   76±13 min
    DTBT   89 %
  Time of admission  
    Day-time   71±11 min
    Night-time   79±13 min  N.S.
  Heart failure  
    KillipⅠ   79±13 min
    Killip≧Ⅱ   69±13 min  N.S.
  Approach site of PCI  
    Radial   76±14 min
    Femoral   77±10 min  N.S.