総合内科の研修目標

当院では初期研修の獲得目標をプライマリ・ケア中心に設定しなおし、すべての臨床医に必要な基本的知識、技能、および診療態度を身につけること、 「病める人」 の全体像を捉えられる全人的医療の修得を重視することから従来の臓器別細分化した内科系臨床科構成を改め、入院に関しては総合内科、循環器科、消化器科の3科にして研修目標を達成しやすいものとした。
総合内科は基本的診療能力の獲得をbaseに二次ケアを含めた general internal medicineを実践する診療科である。従って研修医の教育の大きな柱となる。

1.血液・造血器・リンパ網内系疾患

  • 血液疾患に特徴的な症状、理学所見を理解する。
  • 骨髄穿刺を行い、骨髄像を理解できる。
  • 血液疾患の鑑別診断、治療法を正しく理解する。
    • 貧血(鉄欠乏性、二次性)
    • 白血病
    • 悪性リンパ腫
    • 骨髄腫
    • 出血傾向 ・紫斑病
  • DICの病態を理解し、診断と治療が正しくできる。
  • 輸血(成分輸血を含む)の適応、投与法、副作用について理解する。

2.神経系疾患

  • 病歴、神経学的所見を正しくとり、正確に記載する。
  • 神経内科疾患の診断に必要な解剖学的知識を習得する。
  • 神経内科疾患の診断に必要な検査法(特に以下)を理解し、所見を正しく読み取ることができる。
    • 腰椎穿刺
    • CT
  • 脳・脊髄血管障害(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)を正しく診断し、急性期、慢性期の治療を経験する。
  • 脳炎、髄膜炎を正しく診断し、治療を経験する。
  • 痴呆性疾患の診断と治療を経験する。
  • 変性疾患(パーキンソン病など)の診断と治療を経験する。
  • 脳血管障害のリハビリテーションを理解する。
  • 神経内科疾患患者の在宅医療を行い、他の地域医療福祉施設との連携をとることができる。

3.呼吸器系疾患

  • 呼吸器疾患の診察法を習得し、主要疾患の病態を理解する。
  • 呼吸器疾患の画像診断法を習得する。
  • 胸部単純X線写真
    • CT
  • 呼吸器疾患の基本的な治療手段を習得する。
  • 胸腔穿刺、胸腔ドレナージ
    • 気管内挿管
    • 人工呼吸器管理
  • 急性呼吸不全の診断と初期治療が正しくできる。
  • 慢性呼吸不全の診断と治療、生活指導ができる。
  • 気管支喘息の急性期治療を正しくできる。
  • 呼吸器感染症(急性上気道炎、気管支炎、肺炎)の鑑別診断と治療が正しくできる。
  • 気胸、胸膜炎の診断と治療ができる。
  • 肺癌の診断と治療を経験する。
  • 肺癌の終末期医療を経験する。

4.腎尿路系疾患

  • 腎不全(急性腎不全・慢性腎不全)の診断と治療が正しくできる。
  • 血液浄化療法(透析)を経験する。
  • 原発性糸球体疾患(急性・慢性糸球体腎炎症候群、ネフローゼ症候群の診断と治療を理解する。
  • 全身性疾患による腎障害(糖尿病性腎症など)の診断と治療を理解する。
  • 尿路結石、尿路感染症の診断と治療が正しくできる。

5.内分泌代謝系疾患

  • 視床下部・下垂体疾患(下垂体機能障害)の診断と治療が理解できる。
  • 甲状腺疾患(甲状腺機能亢進症、機能低下症)の診断と治療を経験する。
  • 副腎不全の診断と治療を理解する。
  • 高脂血症の診断と治療ができる。
  • 糖尿病の診断に必要な検査法とその結果を正しく理解する。
  • 糖尿病性昏睡の病態を正しく理解し、鑑別診断と治療が正しくできる。
  • 糖尿病に対する食事療法の基本を理解し、具体的に指導できる。
  • 経口糖尿病薬の適応、選択、投与法、副作用について正しく理解する。
  • インスリン療法の適応、選択、投与法、副作用について正しく理解する。
  • 糖尿病の合併症(網膜症、神経障害、腎症)を理解する。

6.感染症

  • ウイルス感染症を経験する。
  • 細菌感染症(ブドウ球菌、MRSA、A群連鎖球菌、クラミジア)について理解し、経験する。
  • 結核について理解する。
  • 真菌感染症(カンジダ症)について理解する。

7.免疫・アレルギー疾患

  • 全身性エリテマトーデスとその合併症について理解する。
  • 慢性関節リウマチについて理解し、経験する。
  • アレルギー疾患について理解し、経験する。

方 略

① 訪問診療

  中通リハビリテーション病院の訪問診療に同行し在宅医療を学ぶ。

② 脳外神経内科カンファランス

  脳卒中カンファランスを通じて他職種との連携を図り、退院調整にも積極的に関わる。

③ 内科回診

  受け持ち症例について簡潔にプレゼンテーションを行う。

④ 肺がんカンファランス

  呼吸器外科と呼吸器内科によるカンファランス。術前の紹介と術後経過の報告。

⑤ 頭部画像カンファランス

  放射線科、神経内科、脳神経外科の指導医のもと、直近1週間の頭部CT・MRIの読影を行う。

⑥ 胸部画像読影

  呼吸器内科指導医のもと直近1週間の全外来での胸部単純写真の読影を行う。

⑦ 神経内科回診

  新規入院患者のプレゼンテーションと入院患者のプレゼンテーションを行う。

⑧ 外来診療

  内科新患を担当し、診断のための検査計画を立案し、適切な治療とフォローアップ(紹介を含む)を行う。

⑨ 週間スケジュールは「初期臨床研修に関する規程」を参照

評 価

① 研修医の評価:終了時に評価票に従って自己評価と指導医による評価(3段階)、メディカルスタッフによる評価(5段階)を行う。また、EPOC(オンライン臨床研修評価システム)に自己評価と指導医評価を入力する。

② 指導医評価:研修医による評価(3段階)を行う。

③ 研修プログラムの評価:研修医や指導医の意見を聞き、研修プログラムの検討を行う。

 

目次

前頁
(疾患・病態の経験)-物理・化学的因子による疾患、小児疾患、加齢と老化

次頁
(循環器内科の研修目標)

基本的研修目標と科別研修目標について